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2020年10月29日 | 秋元 圭吾 | 長期気候変動対応のエネルギーシステムー全体システムと自動車部門ーパリ協定では2℃、1.5℃目標、そして21世紀後半に実質ゼロ排出 とする長期目標が掲げられた。大幅な排出削減に向けた取り組みが求められるが、 エネルギー供給サイド、需要サイドともに、技術、社会の動向は大きな不確実性 があり、それぞれに応じた全体システムを評価する必要がある。また、不確実性を 踏まえた柔軟な対応戦略が求められる。本講演では、定量的なシステム分析を 踏まえて、エネルギーシステム全体と自動車部門での対応シナリオについて議論 する。 | ダウンロード |
森川 多津子 | 今後の気候変動対策と大気環境研究現在、進められている気候変動対策シナリオに基づいた、
自動車やエネルギーへの政策が、大気汚染物質の排出量に もたらす変化と、その影響について紹介します。 また、これまで大気汚染物質としてみられてきたNOx、PM、光化学オキシダントが、 短寿命気候汚染物質SLCPとして、地球温暖化とどのように関連してくるか、 ということについてさまざまな研究結果をレビューします。 |
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2020年02月27日 | 前田 義男 | 自動車を取り巻く環境変化と今後の対応 -乗用車を中心に-パリ協定締結の各国約束草案のGHG削減目標を総和しても2030年のGHGのピークアウトが達成不可能なことが明らかとなり、 ●近年の世界中での様々な異常気象現象増加、IPCCの1.5℃の特別報告発表、世界中に影響を及ぼしたグレタ・トゥーンベリ現象 ●昨年5月の欧州議会選挙では環境派の議席数が増加、12月には2050年までにGHG排出 Net Zeroを目指し、欧州グリーンディールに関しての政策文書公表 ●昨年9月の国連気候アクションサミットでの、EU及び65ヵ国の2050年までのCO2 Zeroコミット表明、機関投資家やグローバル企業からも同様の宣言 ●昨年12月のCOP25でも、各国約束草案の2030年GHG削減目標引き上げの論議が欧州を中心に盛り上がる 等々の変化が起こり、 そのような状況下で、自動車を取り巻く環境に関しても、下記のような技術課題の変化が生じている. ●欧州、北米、中国を中心に CASE、MaaS等に関連して、様々な覇権を狙った技術革新動向の変化、ビジネスモデルの変化 ●今後の世界エネルギー状況変化・資源制約への対応技術研究開発、多様化する市場NEEDSへの対応、等 対応すべき技術課題の多様性拡大 ●上記課題対応のため技術を複合的に融合させ迅速に製品やシステムに実装し、早急に社会に普及させなければならず、複雑化する技術を組み合わせたモビリティ製品の開発期間短縮の重要性増加 上記のような背景を受けて、自動車を含むモビリティに関しての対応の方向性に関して、今回、自動車技術会の特設委員会での論議の一端を紹介させていただきます. | ダウンロード |
小川 博 | 地方と都市・自動化とMaaS ~2030~2050年の物流と公共交通~パリ協定以降の急激なCO2(GHG)削減の世論の高まりに加え、日本等のOECD各国
のみならず、非OECD諸国での少子高齢化が進み、それに伴う経済活動の停滞がもたらす 経済格差の拡大や都市化の波。 この経緯の中では、自動車は所有ではなく使用の対象へと移っていくと見られている。 シェアード等による利用の形態の変化がもたらされる一方で、人と物の自由な移動の要求は益々高まり、トラックによる物流と乗合自動車による公共交通のサービスの高度化が求められると考えられる。 上記のような背景を受けて、地方と都市、物流と公共交通等のモビリティに関しての対応の 方向性に関して、今回、自動車技術会の特設委員会での論議の一端を紹介させていただきます。 |
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2020年01月21日 | 小林 伸治 | 日本における自動車の環境影響の経緯と現状 これまで自動車の環境問題と言えば、自動車排出ガスによる大気汚染が大きなウェートを占めていたが、自動車の普及と並行して年々強化されてきた排出ガス規制が功を奏し、現在では自動車排出ガスの大気環境への影響は以前に比べて著しく低減されている。その一方で、近年、地球温暖化対策に加えて自動運転や情報技術に関する著しい技術的進展により、自動車は100年に一度の変革期を迎えていると言われており、自動車と環境の関りも大きく変化することが予想されている。このような時代背景を踏まえ、本ワークショップでは、自動車排出ガス規制の経緯を振り返りながら、排出ガス規制が自動車技術や大気環境の改善に及ぼした影響を検証するとともに、今後の地球温暖化対策に基づくエネルギーの変化等を踏まえた自動車の将来像を紹介する。 | ダウンロード |
柴田 芳昭 | 自動車の大気環境・健康影響研究の経緯と現状と欧米での最新研究の動向-HEI での最新の健康影響研究等を中心として- 1952年の英国の“ロンドンスモッグ”事件で、大気汚染(主に煤煙)と健康影響(急性死亡率)の研究が近年の大気汚染の健康影響研究の始まりと言われている。
ほぼ同じ頃、米国の“ロサンゼルスの光化学スモッグ”(主にオゾンや窒素酸化物)と自動車排気の研究が行われ、自動車排気の大気汚染の関連が明らかになり、その後の自動車排気と大気環境・健康影響研究の始まりとなった。 日本では工場排気の健康影響として喘息影響研究が1960年代に始まり、海外での自動車排気の健康影響研究の影響も受け1970年代に沿道における喘息影響研究から始まった。 排気成分としては、NOx、SPM、PM2.5、光化学オキシダントと時代とともに対象物質も変遷してきた。健康影響のエンドポイントも全死亡、肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD/喘息)、心血管系疾患、次世代影響、脳神経系疾患と多岐に渡り、現在に至っている。 米国の自動車排気の健康影響研究は、大気浄化法(Clean Air Act)に基づき1980年に米国環境庁(EPA)と自動車メーカーが共同出資で設立したHEI(Health Effects Institute)が中心となって実施してきている。HEIは米国だけでなく、欧州や日本も含めた健康影響の中心的機関であり、HEIの動向が今後の自動車と健康影響研究を考える上で重要となる。 HEIの2020-2025年の研究計画議論の最新動向も紹介する。 |