回 | 開催日 | 講師 | 概要 | 予約申込 | テキスト |
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第1回 | 2019年04月09日 | 吉門 洋 | 大気汚染と局地気象大気汚染が気象に支配されることは自明ですが、気象をコントロールして大気汚染をなくすことは不可能です。そのせいか、近年は気象的側面からの大気汚染研究が下火のように見受けられます。しかし、汚染物質の排出が日々それほど変化しなくても、高濃度汚染が毎日ではなく時どき起きるのは専ら気象の為すところであり、その発生機構を理解しておくことは不可欠といえます。高濃度汚染の発生に局地気象がどのように関与するかについて、これまでの知見を整理してご紹介します。 | セミナー終了 | ダウンロード |
第2回 | 2019年04月23日 | 太田 幸雄 | 大気放射観測と放射収支モデル講演要旨 まず、放射、黒体、太陽放射、地球放射の定義及び太陽放射のスペクトルと大気層の波長別吸収率、吸収帯について述べる。次に、放射の基礎として、吸収、散乱、アルベド、キルヒホフの法則及び大気放射について述べる。さらに、放射のフラックスとネットフラックスの定義を行い、放射エネルギーの蓄積による気層の昇温について述べる。 地球大気の気温の高度分布について、高度20km以上では気温分布は放射平衡温度分布となっていること、これに対して20km以下では放射平衡温度分布は実際の気温分布に比べてはるかに低く、大気放射は冷却作用として働いており、一方で大気大循環および乱流、対流により地表から熱量が運ばれて大気層を加熱していることを述べる。 放射収支の定義について述べ、放射観測及び放射の測定器(放射計)について概説する。 地球温暖化の予測評価において用いられている放射強制力について定義し、放射強制力の算出手順について述べる。 ガス、雲粒子及びエアロゾルを含む実際の大気(混濁大気)中の放射伝達方程式を導出し、放射伝達方程式の様々な解法について紹介する。 大気エアロゾルの気候影響に関して、直接効果と間接効果について述べ、エアロゾルの気候影響評価における不確実性と今後の対応について述べる。 | セミナー終了 | ダウンロード |
第3回 | 2019年05月14日 | 森川 多津子 | 大気汚染モデルによる発生源寄与評価<要旨> この数年、大気環境の改善が近年は一段と進んできた感があるが、現状で未だ大気環境基準がクリアできていない課題として、PM2.5と光化学オキシダントがあげられる。光化学オキシダントは大気中の反応で生成する二次汚染物質であり、PM2.5には発生源から直接大気に排出される一次汚染物質も含まれるが、PM2.5も光化学オキシダントと同様、主には大気中の反応で生成する二次汚染物質である。 これらの二次汚染物質は、様々な大気汚染物質が複雑に絡む反応で生成するが、それぞれの反応速度も様々であり、どのような発生源から発生する物質がどのように影響をしているのか、正確に見極めることは非常に難しい。 本講義では、それら二次生成物質の原因となる大気汚染物質の発生源の影響を把握するための手法について紹介する。具体的には観測値から解析するレセプターモデルによる方法、および、排出量データ(排出インベントリ)と気象データから大気シミュレーションを使って求めるフォーワードモデルによる方法、のそれぞれについて、例をあげて紹介する。 <目次> 1. はじめに 対象となる大気汚染物質や現象、バックワード(レセプター)モデルとフォワード(大気質予測)モデルについて 2. 観測結果を使う方法....レセプターモデル 2.1. CMB法とPMF法 2.2. CMB法の例 2.3. PMF法の例 3. 大気シミュレーションによる方法… フォーワードモデル 3.1. 大気シミュレーションの概要 3.2. さまざまな発生源感度解析法の紹介 3.3. 発生源のゼロアウト法や20%低減法の例 4. まとめ | セミナー終了 | ダウンロード |
第4回 | 2019年05月28日 | 斎藤 正彦 | 大気汚染観測とモデル解析<要旨> 本セミナでは、まず大気質の観測値とモデルの計算結果を比較し、モデルの再現性について検討する。具体的には、冬季の関東地方を対象に気象要素(風向風速、気温、混合比)の比較、大気質(NO2、NO、VOC(NMHC)、PM2.5)の比較を行い、モデルの再現性について確認する。風向風速、気温、混合比の再現性は良く、気象モデルWRFの信頼性が確認された。一方、大気質については、NO2の再現性は良いが、NO、VOC(NMHC)、PM2.5はモデルが過小評価になる傾向が認められた。 PM2.5濃度の水平分布やその東西・南北の鉛直断面、PM2.5のうち3つの成分濃度(sulfate、nitrate、ammonium)の東西・南北の鉛直断面を示し、PM2.5の立体的な濃度分布を示す。これらの分布により、大気境界層の厚さと鉛直濃度分布には密接な関係があること、3つの成分濃度(nitrate > ammonium > sulfate)の違いを示す。 PM2.5について、プロセス解析を行った。プロセス解析とは、濃度の時間変化を 移流項、拡散項、反応項、発生項、沈着項、雲の項の時間変化に分解し、濃度の時間変化の原因を調べる解析ツールである。PM2.5の濃度時間変化は、反応項だけで説明できるものではなく移流項や拡散項が大きく寄与していることを示す。また、ここでのプロセス解析は、PM2.5のうち3つの成分(sulfate、nitrate、ammonium)について実施したため、それ以外の成分(POA、SOA、EC、Others)が大きくPM2.5の濃度へ寄与している地域時間帯があることが分かった。 | セミナー終了 | ダウンロード |