開催日 | 講師 | 概要 | 予約申込 | テキスト |
---|---|---|---|---|
2019年11月12日 | 早川 和一 | 多環芳香族炭化水素類の環境動態と測定の意義世界保健機構 (WHO)は, PM2.5などが引き起こす大気汚染によって世界で毎年数百万人以上が死亡していると警告している。PM2.5は種々の呼吸器系及び循環器系の疾患と関連していることから,既に我が国では大気環境基準が定められている。PM2.5には,ベンゾ[a]ピレン(BaP)に代表される発がん性や変異原性を有する多環芳香族炭化水素(PAH)やニトロ多環芳香族炭化水素(NPAH)が含まれており,その汚染対策も重要な課題になっている。既に,いくつかの国ではBaPに関する大気環境基準が定められ,WHOでも目標値が設定されている。我が国でも早くから,いくつかのPAHやNPAHが中央環境審議会「対策を施すべき優先取り組み物質」に指定され,現在,その対策の実施に向けて準備が進められている。 PAHやNPAHは有機物の不完全燃焼で生成し,主な発生源には,化石燃料を使用する自動車や工場,暖房施設などの他,焼き畑や森林火災などもある。我が国では,かつて都市や幹線道路周辺で自動車排ガス粉塵による深刻な大気汚染が問題となり, PAH,NPAH濃度も極めて高かった。その後,度重なる自動車排ガスPM,NOx対策が実施されてきた。一方,中国華北の冬は,石炭暖房によるPM2.5汚染が激しく, PAH,NPAH濃度も日本より高い。発生源が違うと発生するPAH,NPAHの量も組成も異なるので,健康影響も同じではない。 本セミナーでは,今後の大気中PAH,NPAHの測定やリスク評価に必要な知識として,我が国及び諸外国の汚染の変遷と現状を理解し,測定法や曝露評価法,発生源解析法に関する基礎を解説する。 | セミナー終了 | ダウンロード |
奥田 知明 | 大気環境研究の新たな視点-粒子の有害性評価・表面積・帯電状態・地下鉄環境-試料採取地点(福岡大、慶応大、埼玉県に設置)においてサイクロン式大流量PM2.5新規採取装置で得られたPM2.5粉体試料を細胞・動物曝露を行い曝露影響評価を述べる。 電極版に電圧を印加することで粒子を帯電状態毎に分別し、OPC(光散乱粒子計数装置)で粒子個数濃度を測定する粒子帯電測定装置を紹介する。 国内で初めてとなる地下鉄での本格的な調査を行った慶應義塾大学・奥田知明教授のグループによる地下鉄構内の運行状況によるPM2.5濃度の推移等を述べる。 | |||