セミナー

第4期定期セミナー 環境省・環境研究総合推進費 新規研究紹介 第1回

主催  :一般財団法人大気環境総合センター

開催時間:13:30~15:30(受付13:00~)

開催形式:ZOOMによるオンライン開催


申し込み:要事前登録(ホームページからお申し込みください)

参加費 :賛助会員 無料、セミナー会員 1,000円、一般 3,000円

お振込み先:

ゆうちょ銀行 店名:〇一八(ゼロイチハチ)

店番:018 種目:普通 口座番号:9872334

口座名義:ザイ)タイキカンキョウソウゴウセンター

<ゆうちょ銀行口座間、郵便局からのお手続きの場合>

記号・番号:10160-98723341

口座名義:ザイ)タイキカンキョウソウゴウセンター

 

開催日講師概要予約申込テキスト
2023年02月28日伊藤 晃佳

タイヤ摩耗粉塵を含む非排気由来の粒子排出実態に関する研究

 自動車の走行に伴い発生する粒子状物質には、大きく分けて、排気粒子と非排気粒子の2種類があります。排気粒子の排出量は、自動車排出ガス規制の強化とそれに伴う技術開発により、以前に比べ大幅に低減してきました。一方で、非排気粒子(例えば、タイヤ摩耗粉塵やブレーキ摩耗粉塵など)については、排出低減の対策等は特に行われておらず、これまでに、大きな排出量低下は見られていません。また、今後のカーボンニュートラル対策としての車両電動化においては、車両重量の増加に伴い、非排気粒子の排出量が増える可能性もあるため、これら非排気粒子の重要度が相対的に増していくことが見込まれます。しかし、非排気粒子に関しては、排出量計測の試験法が十分に定まっているとは言えず、また、環境中の実態についてもわかっていないことが多く、解明すべき課題が残されています。
 以上のような背景を踏まえ、日本自動車研究所では、2022年度から3年間の予定で、環境研究総合推進費に「タイヤ摩耗粉塵を含む非排気由来の粒子排出実態に関する研究」として、タイヤ摩耗粉塵の計測法開発から、非排気粒子の高精度の全国排出量推計まで、幅広い内容の研究計画を提案し、採択されました。本発表では、この研究の計画を中心に、これまでに得られている結果などを交えて、概要を紹介します。
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谷本 浩志

燃焼起源SLCFの東アジア国別排出量の迅速把握と方法論構築に向けて

 2022年度より3年間の課題として、環境研究総合推進費「燃焼起源SLCFの東アジア国別排出量の迅速把握と方法論構築」を、国立環境研究所、海洋研究開発機構、日本自動車研究所、神戸大学、電力中央研究所、東京大学、北海道大学の7機関の共同で開始した。今回、セミナーにご参加の皆様に、本課題の内容及び科学的・政策的な狙いを共有したい。
本課題では、パリ協定の「2℃/1.5℃目標」早期実現への貢献を念頭に、ブラックカーボン (BC)等、燃焼起源の SLCF(短寿命気候強制因子)の排出インベントリの高精度化、迅速化および国内基盤の確立に重点を置き、東アジアにおける国別排出量評価と日本におけるMRVシステムの確立を行う。
具体的には、日本の排出インベントリの複数推計値を俯瞰し統合評価して高精度化する。現時点でGHG(温室効果ガス)は比較的早く2019年度版が温室効果ガスインベントリオフィス(GIO)から公表されているが、大気汚染物質の排出インベントリである環境省PM2.5等大気汚染物質排出インベントリをベースに推計するBCは2015年版が最新であるため、これをGHGに合わせて2019年版とし、北極評議会等の国際枠組みに報告する公式BC排出量推計値を最新にするとともに、公式統計値がまだ利用可能ではない2020年以降は、いくつかのセクターについて民間データを利用した推計に先駆けて取組み、年々の推移や増減を出すなどし、その代替性を探る。こうして精緻化されたボトムアップ推計値を、最新の野外観測や衛星観測、航空機観測のデータを利用してボトムアップインベントリとは独立した手法で算出し、日本、中国、韓国からの国別公式排出量推計値を検証して科学的・客観的な評価を与える。こうした検証過程を経て、将来予測計算に用いられているBC 排出シナリオの妥当性を検証するとともに、東アジアの排出インベントリを修正・改良し、気候モデルや大気質モデルの計算に反映させて影響を解析し、その結果を国際モデル相互比較プロジェクトに提供する。モデル計算結果を用いて、気候変動とアジア大陸から日本への越境汚染を考慮した排出動態と削減政策に関する経済学的分析を行い、「東アジア地域におけるBCの収支レポート2024年版」として公開して、北極圏の気候変動対策や、日本の大気汚染対策、特に世界保健機関(WHO)の2021年新ガイドラインに関する政策提言に繋げる。