セミナー

令和7年セミナー 環境問題の歴史と対策 PCB問題

主催  :一般財団法人大気環境総合センター

開催時間:13:30~15:30(受付13:00~)

開催形式:ZOOMによるオンラインとIIAEセミナー室によるハイブリッド開催


申し込み:要事前登録(ホームページからお申し込みください)

参加費 :賛助会員 無料、セミナー会員 1,000円、一般 3,000円

お振込み先:

ゆうちょ銀行 店名:〇一八(ゼロイチハチ)

店番:018 種目:普通 口座番号:9872334

口座名義:ザイ)タイキカンキョウソウゴウセンター

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記号・番号:10160-98723341

口座名義:ザイ)タイキカンキョウソウゴウセンター

 

開催日講師概要予約申込テキスト
2025年05月20日山本 昌宏

PCB廃棄物処理の歴史と現在

ポリ塩化ビフェニル(PCB)問題の発端から、国主導の処理の受け皿整備と制度化、JESCOによる約20年間の処理を経て、2025年度末処理完了(予定)に至る、PCB廃棄物処理の歴史と現在の状況を紹介します。具体的には、以下の骨子に沿った内容となります。
・PCBは、化学物質としての優れた性状により、1950~60年代にかけて、変圧器(トランス)やコンデンサー等の電気機器や蛍光灯の安定器をはじめ、熱媒や感圧複写紙、塗料など、広範に使用された。
・しかし、熱媒として利用していたPCBが誤って食品に混入し、カネミ油症と呼ばれる大規模な健康被害を引き起こしたことを契機に、その有害性が強く懸念されるようになり、1972年には製造、使用が禁止され、翌年には化学物質審査規制法が制定されて、法律による禁止に移行した。
・広く出回ったPCB使用製品は、やがて廃棄物となって廃棄物処理法に基づく適正処理が求められ、産業廃棄物としての処理責任を有する民間主導で、多くの地域で処理施設の立地が試みられたが、立地地域の理解を得られず、長期にわたる保管を継続している間に、PCB廃棄物の紛失が社会問題化するに至った。
・一方で、不法投棄や不適正処理の横行により、産業廃棄物全般が社会問題化して、その規制強化を図るため、1990年代以降、廃棄物処理法の累次の改正が行われ、排出事業者責任の強化が図られたが、PCB廃棄物に関しては、その処理責任を果たそうにも、処理先がなく、出口のない閉塞した状況が続いた。
・当時の厚生省廃棄物部局では、民間任せでの解決は困難と判断し、1990年代に技術開発が進んだ化学処理方式を活用し、国が処理施設の整備を主導することで、この問題の打開を図ろうと考え、施設立地に向けて自治体と調整しつつ、2001年に新たな制度(PCB廃棄物処理特別措置法)を整備した。
・実際のPCB廃棄物処理の施設の建設と、その後の処理の実務を環境事業団(後のJESCO)が担うこととなり、全国5か所に施設を建設して、PCB廃棄物の広域処理を、2004年の北九州施設を皮切りにスタートさせた。
・JESCOのPCB処理では、バッチごとにPCBの無害化を確認できる化学処理を採用し、多重の安全対策やモニタリング、見学者の受入や積極的な情報発信、事業ごとに有識者の助言・指導を受ける体制、地元の住民参加を得た監視会議の設置など、安全の徹底と積極的な情報発信に努めた。
・JESCOにおける処理は、初期段階で様々なトラブルに見舞われ、処理が軌道に乗るまでには時間を要したこともあり、2014年には国の基本計画を改定して、事業所の相互活用などの処理体制の見直し、処理期限の延長を行い、さらには2016年にPCB特措法を改正し、期限内処理を徹底できる制度への強化が行われた。
・その後、各施設の処理期限が順次到来し、先に処理を終えた地域で、終了後に発覚したPCB廃棄物を他事業エリアにおいて処理する体制を調整しつつ、2023年度末に西日本3事業所のPCB廃棄物処理が終了し、残る東日本の2事業所について、2025年度末の処理完了に向けて、最終盤の処理が進められている。
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